2011年5月15日日曜日

発芽胡麻のセサミノール


先日、八尾工場で初めて発芽胡麻の焙煎前を見せてもらいました。

(発芽胡麻はイラストと、発芽中の写真で現物は初めて!)

いつものように久綱課長の説明では、発芽胡麻は、発芽した後の窪みがあるのが特徴とか。





●リグナン胡麻、胡麻若葉と並んで、機能性胡麻でも人気がありますが、現在は機能より特に発芽によって風味がアップする点を強調しています。
(どっちの料理ショーでも「坦々麺」に取り上げられています。)





●発芽胡麻の機能のポイントは、旨みのアップとリグナン類のセサミノールの増加。セサミノールはセサミン同様に、脂溶性部分と、水溶性の配糖体の形がありますが、配糖体の抗酸化性が特 に高い点、大腸がんの予防効果等が注目されています。

(セサミノール配糖体は、単独では、抗酸化作用を持っていませんが、腸内細菌の作用で体内でセサミノールに変換され、強い抗酸化作用を発揮します。)


●面白いことに、金胡麻では発芽中にセサミノールが数倍に増えていますが、高リグナン種のごまぞうでは、
 あまり変化がありません。
 





※文献:長島万弓, 石山絹子, 七野知子, 福田靖子:発芽ゴマ食品の機能性と食味に及ぼす発芽の影響,  日調科誌,38,(6), 455-461( 2005)より図を作成。

●抗酸化性を示すDPPHラジカル捕捉活性とSOD様活性では金ゴマでは発芽して24時間後がもっとも高く、ごまぞうでは未発芽時がもっとも高いという結果が観察されています。


また、発芽胡麻は粒として食べる場合は、リグナンの高い「ごまぞう」より、「金胡麻」での風味への評価は高いという点も報告されています。


つまり、味と機能を求める場合は、高リグナン種の胡麻より「発芽金胡麻」がお勧めできそうです。

確かに、発芽金胡麻ペーストは、メープルシロップと混ぜなくても、ピーナッツクリームのような、甘さが
ほんのり感じられ、特に酢味噌ドレッシングが気に入っています。




■ほかにも発芽胡麻については、脂質代謝への影響等が報告されています。

 <参考文献>

●辻原 命子 石山 絹子 *福田 靖子、発芽ゴマ経口投与ラットの生体内脂質改善、名古屋女子大学 紀要  55(家・自)51〜57 (2009)

●石山絹子、長島万弓、安本知子、福田靖子、高リグナン含有種「ごまぞう」の発芽にともなうリグナン化合物の変化とラジカル捕捉活、日本食品化学工学会誌、53、(1)、8-16、(2006)